VBT(速度ベーストレーニング)で使う「代表指標」を、現場で迷わないレベルまで噛み砕いて整理します。
結論:最初に覚えるべきはMPV(平均推進速度)。PVは補助、MVTは設計の基準です。
代表指標(まずはこの3つ)
- MPV(Mean Propulsive Velocity / 平均推進速度):いちばん実用的。日々の管理・ゾーン運用の中心。
- PV(Peak Velocity / ピーク速度):瞬間最大。キレや“跳ね”の確認に向くがブレやすい。
- MVT(Minimum Velocity Threshold / 最小速度閾値):その種目における「限界付近の速度」。推定1RM・負荷設定の基準。
MPV:平均推進速度(もっとも実用的)
MPVは「バーが上向きに加速している区間(推進局面)」の平均速度です。
VBTの現場運用でMPVが強い理由は、ノイズに強く、再現性が高いからです。
MPVが“現場向き”な理由
- 比較がしやすい:同じ種目・同じフォームなら日内変動や疲労の影響が見えやすい
- 速度ゾーン(最大筋力/パワー/スピード)と相性が良い
- Velocity Loss(セット内の速度低下率)もMPV基準で管理しやすい
運用イメージ(超シンプル)
- 各レップのMPVを記録
- 目的に合う速度帯に入っているかチェック
- VL(速度低下率)が閾値に達したらセット終了(カットオフ)
PV:ピーク速度(“瞬間のキレ”を見る)
PVは1回の挙上の中で出た最大速度です。
「速いレップが1回でも出たか」「今日は“跳ね”があるか」といった爆発感の確認に向きます。
PVの注意点(ブレやすい)
- フォームの小さなズレ(反動・切り返し・バウンド)で数値が跳ねやすい
- 計測機器やアルゴリズム差の影響を受けやすい
- “良いPV”が出ても、MPVが落ちているなら持続的な出力は低い可能性がある
迷ったらMPVを基準にし、PVは「今日は速い1発が出ているか?」の補助指標として使うのが安全です。
MVT:最小速度閾値(設計の“定規”)
MVTは「その種目で、限界(ほぼ1RM)に近いときに出る速度の目安」です。
これがあると、速度→強度(%1RM)の変換や、日々のオートレギュレーション設計がやりやすくなります。
MVTの使いどころ
- 推定1RM(velocity-based 1RM estimate)の基準
- 今日は重い/軽いを速度で判定(同じ重量でも速度が落ちる=疲労の可能性)
- 種目ごとに「強度設計の軸」を作る
MVTは種目によって違うのが重要ポイントです。スクワットとベンチで同じMVTにはなりません。
まずは「チーム内で同一ルール」で測り、徐々に自チーム基準を作っていくのが現実的です。
結局どれを使う?(現場の結論)
| 指標 | おすすめ度 | 用途 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| MPV | ◎ | 速度ゾーン運用 / VL管理 / 日々の比較 | 可動域・テンポの統一が必要 |
| PV | ○ | キレ確認 / 速い1発の有無 | 反動や癖で跳ねやすい |
| MVT | ○ | 推定1RM / 強度設計 / オートレギュレーション | 種目依存。基準づくりが必要 |
実践:最短で運用を回す“3ステップ”
Step1:まずはMPVだけ記録する
- 種目:まずはメイン種目(スクワット/ベンチ/デッド等)から
- ルール:可動域、反動の有無、テンポをなるべく固定
Step2:速度ゾーンで「狙い」を揃える
同じ重量でも、その日の状態で速度が変わります。だからこそ速度で狙いを揃えるとブレが減ります。
Step3:Velocity Lossで「止めどき」を揃える
セットの終盤は疲労で速度が落ちます。VLを設定すると、追い込み過ぎ/足りなさを減らしやすくなります。
VLの目安(例)
- 10–15%:出力維持(シーズン中・質重視)
- 20–25%:筋肥大寄り(刺激と疲労のバランス)
- 30%以上:疲労蓄積大(追い込みは計画的に)
よくある失敗(ここを潰すと上手く回る)
- 可動域が毎回違う:深さが変わると速度は別物になります(基準が崩壊)
- 反動・バウンドでPVだけ盛れる:PVの跳ねは「良さ」ではなく「癖」の場合がある
- 速度が落ちても粘り続ける:目的がパワー維持なのに、いつの間にか追い込みセットになっている
- 機器や表示項目がバラバラ:チーム内で“見る指標”をMPVに統一すると一気に整います
まとめ:指標は“少なく・強く”
VBTの指標はたくさんありますが、現場では増やすほど迷いが増えます。
まずはMPVを主軸にして、必要に応じてPV(キレ確認)とMVT(設計の基準)を足す。
これが、最短でVBTを「使える武器」にするルートです。


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