このページでは、VBT(Velocity Based Training)を「従来の強度設定・主観管理・固定メニュー」と比較して、
何が変わるのか/何が得意で何が苦手かを、現場で判断できるレベルまで整理します。
結論:VBTは「正しい負荷」と「正しい止めどき」をその場で揃えられるのが最大の価値です。
VBTは“別のトレーニング”ではない
VBTは、魔法のメソッドではなく負荷管理の方法(処方の仕方)です。
これまで「%1RM」「RPE」「固定セット×回数」で行ってきたことを、速度という客観指標で置き換えたり、補強したりします。
一発比較:VBT vs 他手法
| 手法 | 強み | 弱み(落とし穴) | 向く場面 |
|---|---|---|---|
| VBT(速度) |
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| %1RM(固定強度) |
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| RPE / RIR(主観) |
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| 固定セット×回数 |
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VBTが勝つポイントは「2つ」だけ
① “今日の適正負荷”を、速度で合わせられる
同じ重量でも、コンディションが良ければ速く、悪ければ遅くなります。
VBTはこの差を「気合い」ではなく速度で見て調整します。
つまり、処方のズレをその場で修正できるのが強みです。
② “止めどき”を、Velocity Lossで合わせられる
1セットの終盤は疲労で速度が落ちます。ここでの粘りは、目的によって価値が変わります。
VBTはVelocity Loss(速度低下率)を使い、疲労の深さを揃えて終了できます。
Velocity Lossの目安(代表)
- 10–15%:出力維持(質優先)
- 20–25%:筋肥大寄り(刺激と疲労のバランス)
- 30%以上:疲労蓄積大(追い込みは計画的に)
“併用”が最強:VBT × 従来手法の現実解
現場で一番強いのは「全部VBTに置き換える」ではなく、従来手法を壊さずにVBTを足すやり方です。
おすすめ併用パターン
- %1RM × 速度チェック:処方は%で作り、当日は速度で微調整(ズレ修正)
- 固定セット×回数 × Velocity Loss:回数の上限を決めつつ、速度低下で安全に止める
- RPE × 速度:主観のズレを速度で矯正(「本当にRPE8?」を確認)
よくある失敗:VBT導入直後に「指標が多すぎて現場が止まる」。
まずはMPV(平均推進速度)+Velocity Lossだけに絞ると回ります。
どれを選ぶ?(判断の早見表)
| あなたの状況 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| シーズン中で、疲労を溜めたくない | VBT(低VL) | 質と回復を守りながら強化できる |
| 大人数でメニューを回したい | 固定メニュー+VL | 運用を壊さず安全性を上げられる |
| 初心者が多く、主観(RPE)が不安 | %1RM+速度チェック | 簡単な設計+当日ズレ修正ができる |
| 個別指導で選手の感覚も大事にしたい | RPE×速度 | 主観を活かしつつ誤差を矯正できる |
まとめ:比較の結論
VBTが強いのは「客観性」と「再現性」です。
一方で、従来手法も「簡単」「運用しやすい」という強さがあります。
だから最適解は、従来の枠組みを残しつつ、速度で“ズレ修正”と“止めどき統一”を入れること。
これだけで、チームのトレーニングは一段階“設計”になります。


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