他手法との比較、VBTは「正しい負荷」と「正しい止めどき」をその場で揃えられるのが最大の価値

基礎編

このページでは、VBT(Velocity Based Training)を「従来の強度設定・主観管理・固定メニュー」と比較して、 何が変わるのか/何が得意で何が苦手かを、現場で判断できるレベルまで整理します。
結論:VBTは「正しい負荷」と「正しい止めどき」をその場で揃えられるのが最大の価値です。

VBTは“別のトレーニング”ではない

VBTは、魔法のメソッドではなく負荷管理の方法(処方の仕方)です。
これまで「%1RM」「RPE」「固定セット×回数」で行ってきたことを、速度という客観指標で置き換えたり、補強したりします。


一発比較:VBT vs 他手法

手法 強み 弱み(落とし穴) 向く場面
VBT(速度)
  • コンディション差を即時に反映
  • 目的(パワー/筋肥大)を速度帯で統一
  • Velocity Lossで止めどきを揃えられる
  • 測定・手順の統一がないとデータが崩れる
  • 機器コスト/運用設計が必要
  • 「数字を追ってフォームが崩れる」事故に注意
  • 競技者の強化(特にシーズン中)
  • チーム指導(刺激の再現性が重要)
  • パワー・スピード系の質管理
%1RM(固定強度)
  • シンプルで教えやすい
  • プログラム設計(期分け)が組みやすい
  • 「今日の強度」がズレる(疲労・睡眠・ストレスで変動)
  • 1RM測定が古いと、処方がズレ続ける
  • 同じ%でも動作速度の質は揃わない
  • 初心者〜中級者の土台作り
  • 設備が少ない環境
  • ルーティン化したいとき
RPE / RIR(主観)
  • 機器なしでオートレギュレーション可能
  • 上級者ほど精度が上がりやすい
  • 経験が浅いと当てにならない(過大/過小評価)
  • 「気合い」「メンタル」で数字がブレる
  • チームだと基準が揃いにくい
  • 個別指導(1対1)
  • 競技歴が長い選手
  • 機器なしで調整したいとき
固定セット×回数
  • 運用が簡単(全員同じメニューで回せる)
  • 記録管理が単純
  • 疲労の深さが揃わない(頑張る人ほど潰れる)
  • 調子が悪い日に事故が起きやすい
  • 目的(パワー/筋肥大)が混ざりやすい
  • 部活・授業など大人数運用
  • まず習慣化したい導入期

VBTが勝つポイントは「2つ」だけ

① “今日の適正負荷”を、速度で合わせられる

同じ重量でも、コンディションが良ければ速く、悪ければ遅くなります。
VBTはこの差を「気合い」ではなく速度で見て調整します。
つまり、処方のズレをその場で修正できるのが強みです。

② “止めどき”を、Velocity Lossで合わせられる

1セットの終盤は疲労で速度が落ちます。ここでの粘りは、目的によって価値が変わります。
VBTはVelocity Loss(速度低下率)を使い、疲労の深さを揃えて終了できます。

Velocity Lossの目安(代表)

  • 10–15%:出力維持(質優先)
  • 20–25%:筋肥大寄り(刺激と疲労のバランス)
  • 30%以上:疲労蓄積大(追い込みは計画的に)

“併用”が最強:VBT × 従来手法の現実解

現場で一番強いのは「全部VBTに置き換える」ではなく、従来手法を壊さずにVBTを足すやり方です。

おすすめ併用パターン

  • %1RM × 速度チェック:処方は%で作り、当日は速度で微調整(ズレ修正)
  • 固定セット×回数 × Velocity Loss:回数の上限を決めつつ、速度低下で安全に止める
  • RPE × 速度:主観のズレを速度で矯正(「本当にRPE8?」を確認)

よくある失敗:VBT導入直後に「指標が多すぎて現場が止まる」。
まずはMPV(平均推進速度)+Velocity Lossだけに絞ると回ります。


どれを選ぶ?(判断の早見表)

あなたの状況 おすすめ 理由
シーズン中で、疲労を溜めたくない VBT(低VL) 質と回復を守りながら強化できる
大人数でメニューを回したい 固定メニュー+VL 運用を壊さず安全性を上げられる
初心者が多く、主観(RPE)が不安 %1RM+速度チェック 簡単な設計+当日ズレ修正ができる
個別指導で選手の感覚も大事にしたい RPE×速度 主観を活かしつつ誤差を矯正できる

まとめ:比較の結論

VBTが強いのは「客観性」と「再現性」です。
一方で、従来手法も「簡単」「運用しやすい」という強さがあります。

だから最適解は、従来の枠組みを残しつつ、速度で“ズレ修正”と“止めどき統一”を入れること。
これだけで、チームのトレーニングは一段階“設計”になります。

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